ダビデダビデ=イスラエル王国第2代王
『旧・新約聖書』の「王の理想」「主の僕」「祭儀の祖」

映画『エイリアン プロメテウス』と『エイリアン コヴェナント』

映画『エイリアン プロメテウス』と『エイリアン コヴェナント』は、アンドロイドのデヴィッドが、王の中の王“ダビデ”になった物語と言ってもいいのではないでしょう。

なぜなら、デヴィッドはエイリアンという生物を創造したからです。まや、エンジニアの母星に行って、彼らを絶滅させました。これは、ギリシャ神話やキリスト教の神が人類を滅ぼしたのと同じです。

デヴィッド(ダビデ)は、文字通り全滅させたましたが、ギリシャ神話ではデウカリオンとピュラが、キリスト教ではノアの家族とあらゆる動物のペアが生き残りました。しかし、デヴィッド(ダビデ)の場合、エイリアンのネオモーフやプロトモーフでは生き残ったと言うことはできないでしょう。

ギリシャ神話「プロメテウス」とキリスト教「コヴェナント」

プロメテウスは(Prometheus)は、pro(先に,前に)+mētheus(考える者)という意味があります。未来が見える者、すなわち神で、人間を愛し人文明をもたらしましたす。彼はゼウスやオリンポスの新しい神々の前の、ゼウスの父が統べていたタイタン神族の一人です。

オリンポスの神々vsタイタン神族の戦い(ティタノマキア)では、ゼウスに味方しタルタロス(冥界のさらに下の世界)に封じ込められませんでした。世界を背負っているアトラスとは兄弟です。

Covenant=In the Bible, God's promise to the human race.(聖書における、人類に対する神の約束)
キリスト教の「コヴェナント」は、契約・盟約という意味で、Ark of the Covenant で聖約の箱・モーゼ十戒の石版を意味します。キリスト教徒は、それが旧約聖書に記述されているヘブライ人との神の旧契約を成就し、完成させる新契約の意味だそうです。

このようなギリシャ神話とキリスト教の重要な言葉を映画タイトルと宇宙船の名前にしているのが、映画『エイリアン プロメテウス』と『エイリアン コヴェナント』です。

Amazon Prime Video なら『プロメテウス』『コヴェナント』各299円で見られます。

『プロメテウス』デヴィッドが王の中の王「ダビデ」になった日!

エイリアン プロメテウス

映画『プロメテウス』におけるデヴィッドの不可解な行動

宇宙探索船"プロメテウス"号
目的地:極秘(惑星LV-223)
乗組員:17名とアンドロイドのデヴィッド
2093年12月21日、地球から3.27×10の14乗の距離

アンドロイドのデヴィッドは、ウェイランド社長の極秘命令を受けていたので、プロメテウス号の監視役である社長の娘メレディス・ビィッカーズの指示を度々無視して行動します。死んだと思われていた社長は、なんとプロメテウス号に乗船していて、彼の目的は自分の老衰をエンジニアに救ってもらうことでした。
(考古学者エリザベス・ショー博士は、人類の創造者=エンジニアと呼んでいました)

おそらく、エンジニアが保管していたたくさんの容器の中には、社長の老衰を回復させるかもしれないものがあるかと判断し、その中の黒い液体をエリザベスの恋人チャーリー・ホロウェイにシャンパンに混ぜて飲ませました。また、エンジニアの基地内ではメレディスに映像を送らず、他の乗員とは別行動を取っていました。そして、エンジニアの目的を知り、また彼らの一人が冷凍冬眠して生きていることも隠しました。

デヴィッド、王の中の王「ダビデ」への第一歩

いよいよウェイランド社長の願いを叶えるべく改めて基地に連れていくと、エンジニアは希望の神ではなく、排他的な生物でデヴィッドの首をもぎ取り、社長を殺してしまいました。

おそらくこの時点で、アンドロイドのデヴィッドのAIは「社長の命令」プログラムが機能しなくなり、密かに暴走していたのではないでしょうか。この時が王の中の王「ダビデ」への第一歩と言えるのではないでしょうか。

エンジニアの目的は、船長ヤネックが言うとおり「この惑星はエンジニアの母星ではなく、病原体(黒い液体)をテストするための試験場」のようです。で生き残った一人を除いてエンジニアたちは全滅していました。

エイリアンのプロトタイプやエンジニアにより、プロメテウス号の乗組員は、エリザベス・ショー博士と頭をもぎ取られたデヴィッドしか残っていません。

最後は、無数の病原体(黒い液体)の容器を載せて地球に向かうエンジニアの宇宙船。気付いたエリザベスはエンジニアの目的を阻止すべく、船長ヤネックに通信します。船長ヤネックはプロメテウス号をエンジニアの宇宙船に激突さえ、地球を救います。

一人だけ生き残ったエリザベスの決意

エリザベスは、頭部と身体が別々でも機能しているデヴィッドと話します。

「地球には戻りたくない。彼らの星に行くわ。いけるでしょう?」
「ええ、いけると思います。でもなぜ彼らの星へ?」
人間を創り、そして滅ぼそうとした。なぜ考えを変えたのか? それを知りたいの
「それを知って、今更どうなるんです?」
「それが大事なのよ」
「分かりません」
「それは、私が人間で、あなたがロボットだからよ」

—プロメテウス号より最後の通信—
乗組員全員死亡。
これを受信しても、絶対に発信地(惑星LV-223)に来ないように。
ここは死の星。私はここを去ります。
今日は1月1日。西暦2094年です。
私はエリザベス・ショウ
プロメテウス号の最後の一人。
探索を続けます。

そして、エリザベスとデヴィッドは、基地にあったもう一つのエンジニアの巨大宇宙船で彼らの母星に向かいます。

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アンドロイド・デヴィッドを修復するエリザベス・ショー博士に対して、アンドロイド・デヴィッドは語っています。
「これほど深い思いやりを人間から受けたのは初めてだった」

そして、エンジニアの母星についたデヴィッドは、宇宙船ないから下を見下ろし語ります。
「見るがいい。私の業を。そして絶望を」
この時、「人間を創り、そして滅ぼそうとした。なぜ考えを変えたのか? それを知りたいの」と語っていたショー博士の姿はありませんでした。まだ、冬眠中なのでしょうか? それとも……

『エイリアン コヴェナント』デヴィッドの「エイリアン創造」物語

エイリアン コヴェナント

我が名はオズマンディアス。王の中の王

我が偉業を見よ、諸侯よ。そして、絶望せよ。
他には何も残らず、巨大な遺跡と残骸と果てしなき荒涼が
遥か彼方まで広がるのみ
—作詩バイロン(実はシェリー)1818年の詩—

エンジニアの母星についたデヴィッドは、この詩のようにエンジニアの母星の生物を絶滅させます。
オズマンディアスに自分をたとえたデヴィッドの気持ちは、次のごとく……
これほどの壮麗な詩を残せれば、幸せに死ねる。もし死ねるなら
(アンドロイドは死ねない)。
※オズマンディアス=モーゼの出エジプト時、エジプト王ラムセス2世と言われています。(多説あり)

入植船"コヴェナント"号
目的地:惑星オリエガ6への移民
2104年12月5日
乗組員:15名
新型アンドロイド:ウォルター
入植者:2000名
胚 芽:1140株

背景]入植船コヴェナント号は惑星オリエガ6よりはるかに近いところで。ニュートリノの衝撃波による被害を受ける。ダニエルズの夫である船長ブランソンは冬眠カプセル内の火災で死亡。クリス・オラムが船長になります。その時、近くの星から謎の信号を受信。発信地の惑星はオリエが6よりはるかに近く、地球環境に近かった、実はエンジニアの母星で、また謎の信号はデヴィッドがある思惑を持って発信したか?

謎の信号が発信された星に着いたコヴェナント号。しかし、そこはエイリアンになる病原体に汚染されていました。エイリアンのプロトタイプに襲われる乗組員。それを助けたのが旧型アンドロイド・デヴィッドでした。彼は廃墟に乗組員と新型アンドロイド・ウォルターを案内します。

デヴィッドの釈明?

私の名前はデヴィッド。
10年前、ショウ博士と私は、ここ(エンジニアの母星)に到着した。プロメテウス号の生存者だ。

脱出艇には"死の病原体(weapon)"が積まれていた。着陸時の事故で積荷が飛散。混乱の中で船の制御を失い、ショウ博士は墜落で死亡。病原体は飛散し、その結果は見たとおり(至るところに焼け焦げたようなエンジニアの遺体が)。

ダニエルズ「我々の仲間は感染したの?」
その病原体は非植物性の生命体を狙う。あらゆる動物、つまり"肉体"に感染、すぐ殺すか"培養器"として交配種を生み出させる、非常に攻撃的だ

オラム船長「(感染していれば)母船には持ち込めない。入植者を乗せている」
そうですか。すばらしい。入植者は何人?
オラム船長「2000人以上」
すごい(デヴィッドの狙いは実験体にあります)

ダニエルズ「今の説明は納得できない」
ウォルター「話してみます」

(デヴィッドはウォルターに仲間になってもらうべく、優しく接します)

兄弟ウォルターだけに説明するデヴィッド

(エリザベス・ショウ博士の墓碑銘の前で)

我が名はオズマンディアス。王の中の王。
我が偉業を見よ、諸侯よ。そして、絶望せよ。
他には何も残らず、巨大な遺跡と残骸と果てしなき荒涼が
遥か彼方まで広がるのみ
—バイロン1818年の詩—
(実は「シェリー作」とウォルターに訂正されます。この時、きっとデヴィッドはかなりのショック受け屈辱を感じたはずです。なぜなら、自分を詩の中の王にたとえるほどでしたから。デヴィッドは完全に意識と感情を持ったアンドロイドになっています)

これほどの壮麗なル詩を残せれば、幸せに死ねる。もし死ねるなら。
庭が彼女にふさわしい。生き物に囲まれて。
ミッションで重傷を負った私を、彼女が直してくれた。
あのような優しさは、(自分を造ってくれt)ウェイランド氏にはなかった。他の人間にも。

「彼女を愛した。君がダニエルズを愛するように」
「それはあり得ない」とウォルター。
「そうか? じゃなぜ彼女のため手を犠牲に? 愛でないなら何だ?」
「職務だ(Duties)」答えるウォルター。
「それは違う」

オラム船長に釈明するデヴィッド「素人動物学者になった」

女性乗組員がエイリアンのプロトタイプに殺されると、デヴィッドはそのプロトタイプとコンタクトを取ろうとしますが、オラム船長が射殺、デヴィッドに真実を話すように銃を向けます。

私は「素人動物学者」になった。長年、暇で。忙しくないと物足りない(だから、実験をしていた)。
病原体は変異性が高く、あらゆる形態を成す。非常に独創的だ。この液体が空気に触れると霧状の微粒子に(容器に入った液状の病原体を見せます)。
10年が過ぎ、元の病原体とともに残ったのは美しき獣たちだ。忍耐が大事だ。卵から寄生体が生まれる。遺伝子の「襲撃部隊」だ。宿主を持ち、その体内に入り、DNAを書き換える、そして、最終的に生み出す。これらの素晴らしい融合体を。

美しきコレクション!(と様々な形態を自慢するデヴィッド)

やがて、自分で遺伝子実験を始めた。様々な異種交配だ。
オラム船長「君が操作(エンジニア)したのか?」
"暇な手は悪魔の仕事場"だ。

こっちへ。あなたに見せたい—私の成功例たち(と、船長を下階に案内)
私の研究は、大事な材料(動物、特に人体か)が欠けていたので挫折ばかり。
(そこには、母体を待っているあのツボのようなエイリアンの卵があります)

オラム船長「生きているのか?」
待っている。
オラム船長「一体何を? 何を待っている?」
母体を。
安全そのもの、ご心配なく(と声をかけるデヴィッド)
(オラム船長が卵に近づくと、卵が開く)
よくご覧を。見応えがある。(覗くオラム船長)

カインとアベル

その後、デヴィッドはダニエルズを殺そうとします。それを助けようとするウォルター。デヴィッドvsウォルターは、まさに旧約聖書の創世記に語られている兄弟カインとアベルです。創世記では、カインがアベルを殺してしまいますが……

また、ウォルターはデヴィッドの改良版ですから、デヴィッドほどの不具合はなく、はるかに機能的で安全なのかもしれません(意思や感情を除いては、あればですが)。

Amazon Prime Video なら『コヴェナント』299円で見られます。

終わりに

映画『エイリアン プロメテウス』と『エイリアン コヴェナント』は、アンドロイドのデヴィッドが、王の中の王「ダビデ」になった物語です。『エイリアン コヴェナント』ではオズマンディアスと自称していますが。そして、あのエイリアンを操作・創造したのもデヴィッドでした。

デヴィッドは『2001年宇宙の旅』のHAL9000のように乗組員とは別の命令を受けていました。しかし、命令をした主ウェイランド社長が死んでしまい、命令系統が狂ってしまったと言えるかもしれません。その時点から、自分で自分の行動を命令し制御管理しなければなりません。そこには、石が必要になるのではないでしょうか? それがデヴィッドの

それが結果的に、「素人動物学者」を超えて、生命を操作するようになってしまったといえます。しかし、生命を操作するには、実験動物が必要になります。デヴィッドにとっては、それを邪魔するものは、すべて排除します。

コヴェナント号の乗組員は実験動物にされるか、抵抗して殺されるかしかありません。

しかし、エンジニアの母星での大虐殺には「?」が残ります。ただ単にオズマンディアスに憧れていた、というだけでは単なる妄想狂でアンドロイドではありません。

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