→竹内結子『イノセント・デイズ』原作読んでみた〈あらすじ〉はこちら
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竹内結子と芦名星『イノセント・デイズ』でも2人には死が〈ネタバレ〉
竹内結子と芦名星『イノセント・デイズ』の巡り合わせ
『イノセント・デイズ』(2018年)全6話見ました。第1話冒頭の裁判シーンです。
裁判長「主文。被告人を死刑に処する。願わくば、被告人が心の平穏を得んことを望みます」
幸 乃「申し訳ありません…」
裁判長「何か」
幸 乃「生まれてきて、申し訳ありません」
こう言うと、幸乃(竹内結子)は深々と頭を下げます。
2020年9月27日自殺した竹内結子さん、と芦名星さん
今『イノセント・デイズ』冒頭の判決シーンを見ると、自殺したときの竹内結子さんの顔がこんな感じではなかったのか、と思えてしまいます。
今まで、映画やドラマでこんな顔をした竹内結子さんの顔を見たことはありません。どちらかと言うと、上品な優しい笑顔が似合う女優さんでした。ですから、正直このドラマの竹内結子さんには驚きました。
井上敬介(池内博之)を愛した幸乃(竹内結子)
小さいときから悲惨な人生を歩んできた幸乃にとって、自分を必要と言ってくれた人がただ一人、それが敬介でした。今は別れていますが、幸乃にとってはかけがえのない元恋人。ついつい敬介の新居アパート近くに行ってしまう幸乃、ストーカーに思われても仕方ありません。
そんなことから、幸乃が恨みからアパートに火をつけた犯人と断定されます。その火事で、敬介の妻(芦名星)と生まれたばかりの双子の赤ちゃんが死亡します。
2018年「イノセント・デイズ」で、竹内結子さんと芦名星さんは初共演し、2人はこのドラマの中で死にます。
2020年、奇しくも2人は自殺してしまいました。
真犯人の浮上と幸乃(竹内結子)にせまる死刑執行日
なぜ、犯人でない幸乃は、死刑を受け入れるのか?
それを追求するのが、幼なじみの佐々木慎一(妻夫木聡)と丹下翔(新井浩文)。
実は、慎一には最後第6話で告白する幸乃に対する負い目があります。そのため彼は必死に事件関係者に会いに行き、その中から手がかりを得ていきます。
翔は弁護士になって、弁護士のとる戦術—死刑を遅らせ、再審に持ち込もうとします。
そして、とうとう放火犯は別にいた有力な手がかりを得た慎一と翔。しかし、死刑の執行が3日後に決定しました。
死刑執行日は、弁護士にも知らされません。
その情報を翔に教えたのが、佐渡山瞳(芳根京子)。幸乃(竹内結子)担当ともいうべき刑務官。彼女は翔から幸乃は無実の可能性が高いことを教えられていました。また、幸乃の潔さをみていて親しみを感じていたのです。
第6話で慎一が幸乃に負い目を告白したとき、監視としてそこにいたのも瞳です。今では、瞳は幸乃が犯人ではないと確信しています。
幸乃(竹内結子)の死刑執行日
幸乃(竹内結子)はいつも落ちついて見えるよう自分を律しています。
しかし、興奮すると呼吸困難になり、ひどいときは失神してしまう持病を持っています。今までも、いろいろな場面で発作を起こしています。
幸乃は処刑場への階段で軽い発作を起こします。瞳(芳根京子)は落ち着かせるふりをして、助けようとしている慎一(妻夫木聡)と翔(新井浩文)のことを伝えます。
そして、無実なのに死刑になる意思を変えない幸乃に、とうとう瞳は見守るだけという刑務官の職務を忘れて叫びます。それは、幸乃に死んでほしくない、無実を訴えてほしいという彼女の悲痛な思いなのです。
「傲慢よ、あなたを必要としている人が確かにいるのにそんな人を残して死ぬのは傲慢よ! 本当に後悔していないなら、なんで倒れたの! あんたは、本当は生きたいんでしょ!」
「ここで死ぬことより、ずっと怖いことなんです」
幸乃(竹内結子)は発作からなんとか落ち着くと、「申し訳ありません。大丈夫です」と、瞳(芳根京子)のそばにきます。
「もう怖いんです。もし本当に私のことを必要としてくれる誰かがいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのか怖い……。それは、ここで死ぬことより、ずっと怖いことなんです」
幸乃は処刑寸前、義姉陽子(ともさかりえ)、慎一(妻夫木聡)、翔(新井浩文)と4人で遊んでいた丘を思い出し、微笑みます。
一方、処刑場に行けない瞳(芳根京子)は、外の階段で処刑場の床が開く「ガチャーン」という音を聞きます。
終わりに。竹内結子さんの幸乃へのコメント
竹内結子さんは『イノセント・デイズ』の幸乃という女性について、こんなコメントを残しています。
「真実を明らかにすることが彼女の願いではなく、すべてを語らず、まるごと抱えて命を終えることが使命のように感じている」
竹内結子さん、あまりにも自分自身のことを語っているかのようです。
ですから、ドラマ冒頭の裁判での彼女の顔が、自殺したときの彼女はこんな顔をしていたのではないかと思われてしまうのです。もはや、『イノセント・デイズ』の幸乃は、ある意味で竹内結子さん本人にしか見えません。
ドラマ『イノセント・デイズ』主なキャスト
ドラマ『イノセント・デイズ』主なキャスト
- 田中幸乃(竹内結子)中学生役:清原果耶
- 田中ヒカル(佐津川愛美)幸乃の母
- 田中美智子(余貴美子)幸乃の祖母
- 佐渡山瞳(芳根京子)刑務官
- 丹下 翔(新井浩文)「丘の探検隊」
- 佐々木慎一(妻夫木聡)「丘の探検隊」
- 倉田陽子(ともさかりえ)雪乃の義姉「丘の探検隊」
- 小曽根理子(長谷川京子)雪乃の同級生
- 井上敬介(池内博之)雪乃の元彼
- 井上美香(芦名星)敬介の妻
- 八田聡(山中崇)敬介の友達
早見和真著『イノセント・デイズ』(新潮文庫刊)
早見和真プロフィール
横浜市出身。大学在学中からライターとして雑誌『AERA』の「現代の肖像」や、『Sportiva』『SPA!』などで活動する。2008年、自らの経験を基に書き上げた名門高校野球部の補欠部員を主人公とした『ひゃくはち』にて小説家デビュー。
2015年『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞、第28回山本周五郎賞候補。他の代表作に映画化された「ぼくたちの家族」「ポンチョに夜明けの風はらませて」など。
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