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ヴェロニカは死ぬことにした

Amazonプライムビデオで、とうとう映画『ベロニカは死ぬことにした』を見ました。目的はもちろん、真木よう子の〇〇〇〇を見るためです。それはそれでよかったのですが、奇妙な世界に陥ってしまいました。

そこで、トワ以外の奇妙なキャラクターたち=サチ、ショウコ、クロード、婦長・院長の印象からストーリーを書いてみました。彼らに関わることで、トワは最後に救われるからです。

『ベロニカは死ぬことにした』あらすじ

退屈な人生にうんざりして自ら命を絶とうとしたトワは、目覚めたサナトリウムで「あと7日の命」と宣告される。隔絶された世界で風変わりな人々が暮らすそこで出会った唯一の理解者・クロード。おいしい物を食べること、楽しむこと、美しい音楽を奏でる喜び、満ち足りたセックス、人生を彩る愛しい全てが彼女を変えてゆき、やがて生への欲求が芽生えてくる。身近に迫った死をきっかけに、退屈だったはずのトワの人生が輝きはじめる。
(2006年公開)

(真木よう子23歳か24歳のときの作品)

トワ(真木よう子)①自殺未遂

国会図書館員の司書で高級取り、恋人もいるトア。しかし、日常に退屈し、睡眠薬を多量に飲んで「大嫌いな私へ」と書いたメモを睡眠薬の瓶につめます。瓶をベランダから投げると、トワは昏睡状態におちいり崩れおちます。

気がつくと、トワはサナトリウムのベッドに寝ています。

院長(市村正親)から睡眠薬での昏睡状態の影響で、心室にダメージ受け、余命1週間、長くても10日間と告げられます。院長の説明に、何かを見つめるよう波つめないようなトワの瞳は、何も考えていないようです。

サナトリウムの患者と看護師たちは、みな一種のバカ騒ぎのようなカーニバル状態の日常を送っています。仲間に入れないトワ、仲間にされないトワ。

それでもトワは自殺を試みようと、サナトリウムを抜け出そうとします。しかし、番人のような看護師(片桐はいり)に阻まれてしまいます。

サチ(中嶋朋子)①「狂っているってどういうことか教えてあげる」

トワのルームメイトは、不思議ちゃんのようなサチ(中嶋朋子)。しかし、彼女の言葉は意外に意味深です。たまにオナニーもします。

「狂っているってどういうことか教えてあげる」
サチはトワに話しかけます。

「自分の世界を持って、自分の世界に生きている人はみんな狂ってるってことにされちゃうの」と。

「回っているのが太陽の方じゃなくて地球の方だ」とガリレオ、「時間も空間もなく、あるのはその二つ合わせたもんだ」とのアインシュタイン、「地球の反対側にあるのは大きな溝なんかではなく大陸だ」とコロンブスの名をあげ、最後にビートルズを取り上げ、それまでとはまるで違った音楽と違った時代の人みたいな格好をして、Love is All と歌ったと語ります。

「最初はみんな狂ってると言われたわ」、そして「自分もちゃんと狂ってる」と。トワは意外にサチはまともではないかと思った途端、サチはぶっ飛んだことを言います。

「私の問題は、脳の中に化学物質(セレトニン?)が足りないっていうことなんだって。でも、その化学物質が私の病気を治してくれるといいんだって思いながら、ずっと狂っちゃうみたいな。だって自分の夢みたいに人生を生きたいじゃない。人に言われるんじゃなくてね」

サチ(中嶋朋子)②「病院の外にはどんな世界があると思う?」

やはり変だと思ったとわに、サチはといます「病院の外にはどんな世界があると思う?」

「(病院の外には)自分のことは狂っていないと思っている人たち。自分のことは正しいと思っている人たち。そのくせ、みんな同じ行動を取りたがる人たち(いる)」と、鋭いことを言うサチ。

そんなサチは、初恋の人が忘れられない。15で恋愛し、捨てられる。相手は連絡も取れず、行方もしれず。その後何回か恋もし、結婚もし、ベイビーにも恵まれる。

しかし、サチはベイビーをすごく愛しているのに、ちゃんと愛してやれないと悩んでいました。サチはサナトリウムに来てから、医師(田中哲司)の肉体を離れる催眠術に溺れていたのです。幽体離脱して、ベイビーに会いに行くのです。しかし、ベイビーにはサチが見えません。壊れていくサチ。セレトニン不足?

そんなサチにトワは、優しく言います。
「あなたには愛するものがある、私には何もない」と。

ショウコ(風吹ジュン)の深淵

ショウコはかつて、映画館の暗闇の中でパニック症候群に陥ります。なぜか?

トワが催眠薬を欲しがっているのを知ったショウコは、彼女を外に連れ出します。「ありがとう」と言うトワ。

「人助けは、私の職業的習慣ね」と語るショウコは、自分は元弁護士だったからと説明します。そして、大量の睡眠薬をトワに買い与えた後、ショウコは彼女を伴いと映画館に入ります。かつて、自分がパニック症候群になった映画館です。

ショウコは映画に出てくるアフガニスタンの難民の子供たちを見ていて、『本当に誰かを助けることなんかできない!』と思い知らされたのかもしれません。助けが自分の店名なのに何もできな、それが彼女をパニック症候群に落とします。その後、弁護士事務所を解雇され、夫からは離縁されます。

だから、ショウコは自分を試すためにトワと映画館に入ったのではないでしょうか? 自分はもう回復していると。しかし、徐々に震えはじめるショウコ。そんなショウコに、トワは優しい言葉をかけ、彼女を支えたのです。

トワのトラウマとクロードの生い立ち

トワの母・京子(多岐川裕美)が心配して、サナトリウムに面会に来たある日。トワは面会を拒否しますが、トラウマが蘇ります。

トワには、子供の頃にピアノへの挫折がありました。コンクールで、急にピアノが弾けなくなったトワ。

また、父さんに抱き上げられたとっておきの想い出を母に話したトワ。しかし、母は「違うわよ。全然」とトワの思い出を否定しました。「あんたは、ズボンの脇を掴んでいただけ」と。

クロード(イ・ワン)の前で激昂するトワ。
「私の想い出とはなんだったの! 私はきれいに(ピアノ)に失敗した。母さんの夢を台無しにした」と。

そして、「みんな嫌い! 私が一番嫌い! 大っ嫌い」と泣き叫び失神するトワ。クロードは彼女を抱きしめ「誰か来てー!」と助けを呼びます。

目を覚ましたトワは、婦長(荻野目慶子)に聞きます。
「クロードって、ここに長くいるの?」

「4年が長いなら」と看護師(片桐はいり)。
婦長は「知りたい」と含み笑いします。

クロードの一族は有名政治家族で、彼は完璧な英才教育を受けたといいます。成績はいつも一番。両親は、彼を政治家にしようとします。しかし、彼には画家になって、自分が発見した楽園のビジョンみたいなものを描きたかったのです。新しい世界を想像させるための魂のビジョンみたいなものを。とうぜん。家族は大反対。何回も衝突した後、クロードは心を閉ざし、ここのサナトリウムに入れられたのです。

統合失調症、分裂病で。今まで口を聞いたことがなかったクロード。だから、サナトリウムの人々はみな、トワのことで大声を出して助けを呼んだクロードに驚きました。

看護師婦長(荻野目慶子)の告白

「私も若い頃、自殺を試みたことがあったわ」と、婦長も自殺願望があったことをトワに話します。手首にはそのときつけた傷跡が何本も刻まれていました。

理由は「自分のことは嫌いだったから」。「でも今大〜好き」とトワに明るく話したのです。

トワ(真木よう子)②再生+ショウコ(風吹ジュン)の新たな門出

退屈な人生にうんざりして自殺未遂してサナトリウムに運ばれてきたトワ。院長は水晶を見せて、「綺麗だろ。どんなものにだって、毎日が同じなんてことはありえないんだと」と諭します。

トワ「早く気づいていたら……」

ショウコ「楽しいことは最後の最後まで諦めない方がいいわ」
サチ「私もそう思うわ」
ショウコ「本当に幸福なセックスをしたことはある? 本当に満たされたセックス」

トワは感じたフリしかしてきていませんできた。そして、少し感じても、虚しくなっていたのです。

サチ「トワもオナニーしてみなよ」
ショウコ「大切なのは自分自身を受け入れること。心だけでなく体も。後少ししか生きられないとしても、自分を好きになって欲しい」

「(余命は)24時間以内、もっと少ないかも」と言う院長の言葉もトワの背中を押します。
また、ショウコも退院します。その時、彼女はずっとつけていたサングラスを外します。

 

「クロード、最後の恋人になって。本当の私を見つけたい!」
トワは自分の中にクロードに対する想いがあり、彼の前で自分自身を自慰によってさらけ出そうとします。

そして、二人は結ばれます。もはや、トワの中では日常は退屈なものではなくなっていました。
「私は今、輝く朝日を浴びている。もう一度生きることを決めた。

(蛇足ですが、院長は余命を短く言いわたすことで、奮起を促しているのです)

『ベロニカは死ぬことにした』キャスト

トワ(真木よう子) 1982年10月15日 (年齢 40歳)
サチ(中嶋朋子)
クロード(イ・ワン)
ショウコ(風吹ジュン)
京子(多岐川裕美)トワの母親

紅子(淡路恵子)

院長(市村正親)
医師(田中哲司)
看護師婦長(荻野目慶子)
看護師(片桐はいり)

原作:パウロ・コエーリョ
監督:堀江 慶
脚本:筒井ともみ
音楽:アンドレア・モリコーネ
製作会社:フィルム・コミッティー・ベロニカ

おわりに

映画『ベロニカは死ぬことにした』あらすじを、トワ・サチ・ショウコなどの人物像から書いてみました。

普通のあらすじなら、もう皆さんは知っていると思いしたので、トワなど登場人物のキャラクターをの印象を通して、あらすじを構成してみました。

まったく私的な感想になったかもしれませんが、後から書くには新しい視点でチャレンジしてもいいのではないでしょうか。