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『ドクター・ストレンジ/マルチバース〜』3つの疑問と慟哭の最終戦
ここでは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の気になった3つの疑問と慟哭の最終戦についてまとめてみました。
それは、次のとおりです。
- ワンダ・マキシモフ、なぜスカーレット・ウィッチに?
- 宇宙が不安定になるマルチバースのインカージョンとは?
- 禁断の書とヴィシャンティの書とは?
- 最後の対決、ダークホールドを閉じる慟哭のワンダ!
一番の疑問は「ワンダ・マキシモフ、なぜスカーレット・ウィッチに?」ではないでしょうか?
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンド・オブ・ゲーム』でのワンダは、怖い魔女ではありません。その超能力は別として、愛に溢れています。特にヴィジョンの恋人であり、架空の世界でしたが夫を気づかう優しい妻(『ワンダヴィジョン』)でした。
ところが、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、最初から魔女の中でも最強・最悪のスカーレット・ウィッチとして登場します。その経緯がなんであったのか? それは『ワンダビジョン』の中にあります。
ですから、ワンダをよく知りたい方は、ぜひ『ワンダビジョン』(全9話)を見てください。(Disney+で配信中)
ワンダ、なぜスカーレット・ウィッチに?
「ワンダ・マキシモフが、なぜスカーレット・ウィッチに?」を知るには、彼女の過去を知らなければなりません。そこで、簡単にワンダの略歴(プロフィール)をまとめてみました。
ワンダ・マキシモフの略歴(プロフィール)
- 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
悪の秘密組織「ヒドラ」によって、超能力者となったピエトロ・マキシモフとワンダ・マキシモフは兄妹です。この時、ピエトロはホークアイと子供の盾になり、銃弾を受けて死んでしまいます。悲しみに落とされたワンダですが、ホークアイの助言で立ち直ります。 - 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』後、ヴィジョンと夫婦のような信頼関係を築いていましたが、サノスによってヴィジョンを殺されてしまいます。また、サノスの指パッチンのデシメーションで、ワンダは消えてしまいました。 - 『アベンジャーズ/エンド・オブ・ゲーム』
ハルクの指パッチンで蘇ったワンダは、ヴィジョンを殺したサノスを「私からすべてを奪った」として果敢に戦います。 - 『ワンダヴィジョン』
ピエトロとヴィジョンを失ったワンダの悲しみは癒えることはなく、一つの街ウェストビューをエネルギーシールド(ヘックス)で覆ってしまいます。ワンダは、その中の住民すべてをマインドコントロールします。古き良き時代の笑い声の入るホームコメディのように、架空の中ヴィジョンと夫婦を演じます。また双子のトビーとビリーまで生まれました。
しかし、隣人をよそおっていたアガサが魔女である本性を現し、街の人々の洗脳を解くと、ワンダは窮地に立たされます。最後にスカーレット・ウィッチに目覚めるワンダ。ヴィジョンと話しヘックスを解きます。幸せだった理想の家族—ヴィジョンと双子の息子たちは、すべて消え去ります。
その後、ワンダは自分のしたことを反省し、どこかに飛び去っていきました。 - 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
飛び去っていった先が果樹園のような美しい場所でしたが、ワンダの悲しみは癒えてはいなかったのです。ワンダは幸せな母親になりたいため、マルチバースのどこかにいる本物の双子トビーとビリーを探していたのです。
『ワンダヴィジョン』の最後では、禁断の書ダークホールドによって、ドリームウォーク(下参照)しているスカーレット・ウィッチの姿がありました。ワンダは、すでに禁断の書ダークホールドを持っているのです。
そして、ワンダはマルチバースのどこにでも行ける能力を持つアメリカ・チャベスを探していました。
ワンダの悲しみと願いを知らないドクター・ストレンジはアメリカを助けるべく、マルチバースのことをワンダに尋ねます。そして、アメリカが今カマー・タージにいることを知られてしまいます。
スカーレット・ウィッチは、カマー・タージを襲います。彼女の力には、そにいるすべての魔術師でもかないません。
【マルチバース】恐怖のインカージョンとは?
インカージョンを知るには、カマー・タージでのスカーレット・ウィッチとの戦いから、アメリカ・チャベスとドクター・ストレンジが一緒に飛んだ世界(838)の「サノスとの戦い」が参考になります。この世界ではストレンジはすでに死んでいて、「打倒サノスに命を捧げた地球最強のヒーロー」として、立派な銅像になっていました。
銅像が立つサンクタムから至高の魔術師カール・モルドが出てきて、アメリカとストレンジをもてなします。しかし、これは罠で、二人は捕らえられてしまいます。そして、ストレンジはこの世界のアベンジャーズである「イルミナティ」で裁判を受けることになりました。出席メンバーは以下のとおり。
- キャプテン・カーター / ザ・ファースト・アベンジャー
- ブラカガー・ボルタゴン(破壊力を持った声を持つ) / テリジェンの霧を守るインヒューマンズの王
- キャプテン・マーベル(キャロル・ダンヴァースの友人) / 宇宙の守護者
- リード・リチャーズ / ファンタスティック・フォー
- そして、プロセッサー・エグゼビア教授もいました。
インカージョンとは?
ファンタスティック・フォーのリチャーズが説明します。
「君(ドクター・ストレンジ)が来て我々の宇宙が不安定になっている。インカージョンが起きる恐れも。2つの宇宙の境界が侵食しあい衝突することだ。片方、または両方の宇宙が完全に壊滅する」と。
この世界にいたストレンジの驚くべき真実
838の世界のスティーヴンは「打倒サノスに命を捧げた地球最強のヒーロー」ではありませんでした。
プロセッサー・エグゼビア教授によると
「サノスを倒して死んだのではない。戦いのさなか、打倒サノスに皆が結束していたが、スティーヴンは例のごとく我が道を選んだ」
そして、スティーヴンは禁断の書(ダークホールド)に頼り、ドリームウォークをはじめ、マルチバースで解決策を探しました。しかし、見つからず『手に負えない事態』(インカージョン)を招き、別の宇宙を滅亡させていたのです。
838の世界のスティーヴンは、そんな人物だったのです。やってきたドクター・ストレンジ(主人公の世界616)にも「我が道を行く」資質があるため、イルミナティの裁判を受けることになったのです。
裁判の途中、スカーレット・ウィッチに操られたこの世界のワンダが、アメリカを捕らえるためにやってきます。対抗するイルミナティ(アベンジャーズ)のメンバーでしたが、ワンダの敵ではなく、あっけなくみんな殺されてしまいます。
禁断の書とヴィシャンティの書とは?
- ダークホールド
禁断の書。恐ろしい呪文——魂をむしばみ、現実を冒涜する呪文“ドリームウォーク”が載っています。 - ドリームウォーク(カール・モルドの説明)
「それを使えば自分の意識を他の宇宙の自分に投影できる。そして、体ごと乗っ取れる。自分の邪悪な分身を操り、遠くから敵を狩る。しかし、他の宇宙との繋がりは永遠には続かない。だが、一瞬のドリームウォークがその宇宙に致命的な傷を与えかねない。やってくるのは怪物ではなく、スカーレット・ウィッチ自身かも」と、ドクター・ストレンジとアメリカの説明していました。 - ヴィシャンティの書
ダークホールドと対極の書で、どんな敵も滅ぼす力を魔術師に与える書。938の世界では、この書によってサノスを倒しました。
『ワンダヴィジョン』第9話から
アガサ「『ダークホールド』にあなたのことが書いてあるわ。禁断の書物のことよ。“スカーレット・ウィッチ”は作り出される。仲間も持たず、呪文も必要ない。その力は、至高の魔術師よりも上回る。世界を滅ぼすのがあなたの運命なの」
ワンダ「私はそんなんじゃない」
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』から
助けたアメリカ・チャベスに聞く、
ドクター・ストレンジ「別の私はどう悪霊を倒す?」
アメリカ「善なる書の魔術を使えば、至高の魔術師はどんな敵も倒せる」
ストレンジ「ヴィシャンティの書か。実在しない。おとぎ話の世界だ」
ウォン「記載がある。至高の魔術師だけが読める書に。実在するが、入手不能と言われている」
スカーレット・ウィッチの前に、カマー・タージは敗北。戦いの中、アメリカとドクター・ストレンジは、838の宇宙に行ってしまいました。スカーレット・ウィッチはダークホールドを使って、アメリカを別の宇宙のワンダに探させようとします。
しかし、生きていたカマー・タージの女魔術師サラにダークホールドを破壊されてしまいます。ドリーム・ウォーク中は、スカーレット・ウィッチはまったくの無防備になっていますので、サラの行動に気づかなかったのです。
スカーレット・ウィッチは生き残っていた仲間を殺すと、至高の魔術師ウォンを脅し、呪文“ドリームウォーク”を教えるよう求めます。
「あれは写本だ」
「写本?」とスカーレット・ウィッチ。
「伝説では呪文は山上の壁に刻まれている。ダークホールドはそこで書かれた。ワンダゴア山だ。生還した者はいない」
「私たちは例外になる」と彼女。彼女とウォンはワンダゴア山へ。
「魔術界の師はワンダゴアの禁じられた地を踏んではならないと」
スカーレット・ウィッチはウォンを連れて、ワンダゴア山の塔に飛んでいきます。
ウォン「遥か昔、最初の悪霊クトーンが暗黒呪文をこの墓に刻んだ。何年も後、ダークホールドに書き写された」と話します。
ワンダゴア山の塔に入ったスカーレット・ウィッチは、自分のレリーフが彫られた壁を見て「石に刻まれている『私は全てを支配する』」と読み上げます。そして、ここは墓ではなく「玉座」と言います。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース〜』最終戦前のヴィシャンティの書
ワンダから逃れたドクター・ストレンジ、アメリカ・チャベス、クリスティーンは宇宙同士の接合点(ギャップ・ジャンクション)で、ヴィシャンティの書を一度は手にします。この書なら、スカーレット・ウィッチを止めることができるはずです。この書により、838世界のサノスすら倒せたのですから。
この宇宙同士の接合点への扉は、838世界のストレンジがかつて作っていたものです。
しかし、そこに現れたワンダの攻撃により、ヴィシャンティの書は燃やされてしまいました。また、ワンダはアメリカの力を使い、ストレンジとクリスティーンを別の世界に飛ばします。アメリカはスカーレット・ウィッチの616世界の玉座に放り込まれます。
そして、ドリームウォークから解放され正気に戻った838世界のワンダは、子供たちのところに帰っていきました。
最後の対決、ダークホールドを閉じる慟哭のワンダ!
別の世界に飛ばされたストレンジとクリスティーン。ストレンジはこの世界にあるサンクタムに行き、この世界のストレンジを倒して、禁断の書を奪います。
そして、ストレンジは映画のはじめにアメリカ・チャベスと一緒に来たストレンジの死体をドリームウォークで操り、スカーレット・ウィッチからアメリカを救おうとします。
スカーレット・ウィッチvsストレンジの死体とウォン
スカーレット・ウィッチを一時的に魔術で閉じ込めるストレンジの死体とウォンですが、魔術が破られそうになります。
「アメリカのパワーを奪え! ほかに道はない」とウォン。しかし、ストレンジの死体はアメリカを解放しても、またアメリカが同意してもそのパワーを奪うことはありません。
「自分を信じろと伝えに来た。自分の力を。そして彼女を止めよう」と。
魔法を破ったスカーレット・ウィッチの前には、ストレンジの死体はなす術もなく燃えつきる寸前。その時、アメリカが立ち上がります。
しかし、アメリカの力では、やはりスカーレット・ウィッチには対抗できません。アメリカは「勝てない。これが望みね」と、あるマルチバースの扉を開きます。
アメリカの首を絞めるスカーレット・ウィッチ。その前には、ソファに座る双子のトビーとビリーがいました。
「ママ! 魔女がいる!」と、怖がり階段を駆け上がる二人の子供。そこにワンダも現れました。スカーレット・ウィッチは、ワンダを放り投げます。
「あっちへ行け、ママじゃない!」と怖がる双子のトビーとビリー。その言葉に、スカーレット・ウィッチはわなわなと泣き崩れてしまいます。ワンダは彼女のところへやってくると、「私が愛します」と声をかけます。
マルチバースを閉じるアメリカ。スカーレット・ウィッチは、塔の玉座に戻ります。アメリカとウォンは、ストレンジとクリスティーンがいる別の世界へ向かいます。
スカーレット・ウィッチは自分の虚しい思いに気づき、ワンダゴアの塔の玉座に座るとマルチバースのすべてのダークホールドを閉じることをストレンジの死体に伝えると、山上の塔を崩れ落ちさせ、彼女は瓦礫の中に埋まってしまいました。
はたして、スカーレット・ウィッチは死んだのでしょうか?
終わりに
『ドクター・ストレンジ/マルチバース〜』3つの疑問と慟哭の最終戦をまとめてみました。このページは、あらすじではありません。
ワンダ・マキシモフは愛する人々が死んでしまい、心にぽっかり穴が開いているようです。禁断の書『ダークフォールド』により心が蝕まれ、悲しみがが暴走してしまう悲しい女性のようです。
普通の人間なら誰も傷つかず、なんの問題も起きません。しかし、サノスさえ一人で倒せるのではないかと言われるスカーレット・ウィッチになると、周りに大きな災難を起こしてしまいます。
塔の玉座の瓦礫の中でスカーレット・ウィッチから解放されて、ワンダ・マキシモフとして静かに永眠していて欲しいものです。でも、MARVELのことですから、いずれまたスカーレット・ウィッチとして現れるのではないでしょうか。