木村拓哉『教場』風間教官木村拓哉『教場』風間教官

初の警察学校小説にして決定版。脱帽—
警察小説の大御所・横山秀夫氏の評(文庫帯)。

長岡弘樹著『教場』ストーリー展開が分かりづらい!

たとえば、「第1話 職質」の終わり。
宮坂定と心中しようとする平田和道。入浴済に洗剤を混ぜて毒物(硫化水素)を発生させようとするところで終わります。いったい、宮坂がどうなってしまうのか、わからないまま「第2話 牢問」になります。

そして、第2話のなかば過ぎて「第1話 職質」の最後の説明がされるのです。それまで、毒物は発生したのか? 宮坂と平田の生死はどうなったのか? ずっとモヤモヤ感が続いていました。

また、その「第2話 牢問」の終わりでは、楠本しのぶは車庫の機械に5時間以上挟まれ、すぐ助け出されません。目の前にいる宮坂を通して風間教官の質問攻めにあったまま、しのぶは意識を失ってしまいます。

「なぜ、すぐ助け出さないのか」わからないまま「第3話 蟻穴(ぎけつ)」になります。そして、第3話のなかば過ぎて、「挫滅症候群」と呼ばれる現象が起きるからだと説明されるのです。

初めての読者には、登場人物の相互関係もよく分からないまま、そういうストーリーの流れで進むのです。正直『教場』は読みづらい小説だと感じました。

これが長岡弘樹のスタイルなのです。ちょっと、不親切?

木村拓哉演じる主人公・白髪の風間公親の人物像

木村拓哉演じる主人公の白髪教官・風間公親(きみちか)は、病気のため休職する前教官・植松の代わりにやってきます。あまり表立って出てきません。出てきても、ほとんど感情を表わしません。

必要な人材を育てる前に、不要な人材を篩(ふる)い落とす場、それが警察学校だ」と冷静沈着、無駄口は一切たたかない白髪の教官です。

風間公親(キミチカ)だ」

就任する際に、教壇に立って話したことはたったの一言。

第一話の主人公・宮坂定はこう思います。「いくらなんでも、無愛想に過ぎないか。教育理念を述べてくれとまでは言わないが、よろしくの一言くらいはあってもしかるべきでだろう」

「隙のない男!」
女性生徒・楠本しのぶの第一印象です。

また、風間教官は学校の実情把握のために、情報提供者として宮坂定を選びます。
「毎日の授業が終わったら、その日に気づいた点を、どんなにつまらないことでもいいから知らせに来い」
まあ、一種のスパイですね。

宮坂のバラバラな情報から、風間教官は学校内で何が進行しているか把握しているのです。つまり、一つ一つの情報は単なる点、それが今後どう線としてつながっていくか把握し、その解決策を事前に構築しているのです。

だから、後になってからでないとわからない伏線(ほのめかし)が多く出てきます。これが、二度読みさせる『教場』の面白さ?

『教場』がよく理解できる第六話「背水」

第六話「背水」の主人公は、卒業生の総代を務めることになる優秀な都築耀太。しかし、優秀であるがゆえに、何の試練もないまま卒業間際になって壁を感じます。現場に配属された後の不安です。そのため体調も崩してしまいます。

そんな都築に風間教官が指示したのが、他の学生の卒業文の原稿を読むこと。
風間「この文集から、各人の成長を見極める方法がある」
都築「どのような方法でしょうか?」
風間「文章の末尾を見るがいい」

「第一線に出るのが楽しみだ」
「卒配の日が待ち遠しい」
「早く現場で実績を上げたい」
……………

そのような言葉で結んでいる学生は、風間教官曰く、緊張している、自信のなさが気負いとなっていると指摘。

反対に、本当に成長した者の文章は、「淡々とエピソードを綴っておしまいだ」と指摘する。
それが、第一話から第五話までの主人公たち。彼らは皆、修羅場なり挫折をくぐってきたから、淡々とした文で締めくくっているのです。

第一話 職責 宮坂 定(工藤阿須加)
第二話 牢問 楠本しのぶ(大島優子)
第三話 蟻穴 鳥羽
第四話 調達 日下部 准(三浦翔平)
第五話 異物 由良
……………

風間教官は、都築に「彼らの反対がお前だ、あきらめろ(退職しろ)」と宣告します。

理由は?

風間「度胸だよ。警察官という仕事には度胸が欠かせない」
都築「辞めたくないと言ったらどうしますか」
風間「ならば、わたしを納得させるしかないな。卒業までのあいだにだ」

このように、第一話から第六話まで
風間教官は、まず「退職しろ」と突き放した後、課題を与えクリアーすれば退職を取り消すとメッセージします。

都築はまだ提出していない自分の卒業論文に手をかけ、背水の陣をしきます。まだ、確定していない未来について宣言するのです。
タイトルは【未熟な先輩から一言 都築耀太】。はたして、都築耀太の背水の陣とは?

こんな白髪教官・風間を…木村拓哉はどう演じるのか!

フジテレビが公開した上のポスターを見ると、木村拓哉は白髪教官・風間公親になりきっているように感じます。楽しみなスペシャルドラマ『教場』になりそうです。フジテレビ「教場」は、2020年1月4日(土)・5日(日)二夜連続放送。

『教場』ネタバレ2つ。知りたくない方は、スルー。

白髪教官・風間公親に面と向かい顔をあわせると、その視線がどこを向いているかわからない印象を与えます。それがまた、冷静沈着さに輪をかけて、生徒には近寄りがたい不気味な印象を与えます。

実は白髪教官・風間公親の右目は、義眼だからです。それは、エピローグで唐突にも新入生への挨拶の際、本人自らが義眼を外して説明します。果たして、その意図は?

また、ブレーキをアクセルと踏み間違えた自動車が学生たちの列に突っ込んだ時、一人逃げ遅れたものがいました。安岡という学生です。目を見開き、立ちすくんだまま……。間一髪のところで、誰かが飛び出し、安岡の小さな体を突き飛ばします。それが白髪教官・風間公親です。教官はいつも見守っている優しさ?があります。

終わりに。『教場』カバーイラストとデザイン悪すぎ?

『教場』『教場2』『教場0』のブックカバーを載せます。個人的には、正直このイラストとデザインは好きになれません。

『教場』『教場2』は、ピンときません。『教場2』の手前の教官はもっと白髪であるべきです。『教場』のこちらにくる人物は退校生でしょうか?  初めての読者にはよく分からないと思います。

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